第13回ナデシコプログラムレポート(2023.05.06)

~ 新たな日本文化について考える ~

皆さま、こんにちは。2023 Miss SAKE 鳥取の都田亜衣莉です。

先日参加しました、第13回ナデシコプログラムについてご報告させていただきます。

今回は以下のプログラムについて学びを深めてまいりました。

●キャビア入門

一般社団法人キャビアソムリエ協会会長 出口 彰 様

●ワイン入門

俳優 辰巳 琢朗 様

●酒と菌と人類と気候

東京大学 大学院農学生命科学研究科 生物材料科学専攻 教授 / 総長特任補佐 五十嵐 圭日子(きよひこ)様

●チョウザメとキャビア

キャビアソムリエ協会会長 出口 彰 様 酒坊~多満自慢~さまにて

Program 1:キャビア入門

一般社団法人キャビアソムリエ協会会長 出口彰様の講義で、チョウザメとキャビアについて学習いたしました。

■チョウザメはサメじゃない!?

みなさん、キャビアを説明するときにどのように説明されるでしょうか?私自身「キャビアってサメの卵でしょ?」とジンベイザメなどを想像しながら説明しておりましたが、間違った知識で話をしていたことを、32年間生きてきて本日初めて知りました。(苦笑)

世界三大珍味とされるキャビアは、「チョウザメの卵巣をほぐしたもの塩漬け」のことを指し、チョウザメは「チョウザメ目チョウザメ科 / ヘラチョウザメ科」とサメとは全く異なる分類なんです!驚き!!

そんなチョウザメはなんと!2億年以上前から地球上に存在し、恐竜が出現する前から生き続けている古代魚。世界三大珍味の中でも最も歴史ある食べ物だということも学びました。

もともとカスピ海で漁獲した野生のチョウザメが主流でしたが、乱獲や密漁が増え絶滅の危機に…。そこで、1998年、ワシントン条約にてキャビアや天然チョウザメ関連製品の国際取引に関しての決まりが定められ、現在市場に出回っているキャビアの90%は養殖されたチョウザメから生産されたものなんだそうです。

※キャビアの呼び方について、ヨーロッパでは魚卵の総称をキャビアと呼んだり、ロシアではキャビアのことを「チョールナヤー・イクラー(黒い魚卵)」と呼ぶなど、地域によって呼び名に若干の違いがあるそうです。

■キャビアが高級な理由

チョウザメは外見から雌雄の判断がつけにくいため、稚魚を3年育てた後、腹部を切開して生殖器の有無で雌雄を分け、雄は食用に出荷、雌は成熟してキャビアを持つようになるまで、大体8~10年かけて飼育します。キャビアの採卵は卵巣ごと摘出するため、一度採卵されたチョウザメは二度と抱卵することができないため、長時間かけての成熟と一生に一度だけの採卵が、キャビアの味わいの深さと希少性の理由だとお聞きし、キャビアが高級と言われることに納得しました。

■栄養面から見るキャビアとチョウザメの身

私は今回、キャビアとチョウザメの栄養面について知れたことが非常に大きな学びでした。キャビアは高級食品というイメージが強すぎて栄養価について考えたことがなかったのですが、ビタミンやミネラル、オメガ3必須脂肪酸、パントテン酸を多く含み、美容や健康に与える効果が非常に大きく、芸能人の中には健康のために毎日30gのキャビアを食べていらっしゃる方もいるそうです!そして、最も驚きだったのは、チョウザメの身は食べることができる!ということ。(笑)正直、食べるものではないと思っていました…。チョウザメさん、ごめんなさい…。チョウザメの身は高タンパク質でうまみ成分をたっぷり含んでおり、欧州では「ロイヤルフィッシュ」や中国では「エンペラーフィッシュ」と呼ばれ王や皇帝に献上されていた歴史まであるそうです。

■キャビアは日本でも生産されている

日本でのチョウザメ養殖と国産キャビア生産の歴史は、1983年、ロシア(旧ソ連)から友好の証としてチョウザメが寄贈され、宮崎県が養殖に成功したことから始まります。今では、地域の振興や地元を盛り上げようという取り組みの一環で、日本各地でチョウザメの養殖と国産キャビアの生産が行われているそうです。

■キャビアソムリエ認定試験の受講

最後に、一般社団法人キャビアソムリエ協会のキャビアソムリエ認定試験を受験いたしました。講義内でしっかりインパクト強く残っている箇所もあれば、うろ覚えの箇所もあり…。合格していてほしいと願うばかりです…。

■出口様の講義を受けて

とにかく出口様のチョウザメに対する愛情を強く感じました!そして、チョウザメ愛の強い出口さんだからこそ、お話されている言葉一つ一つが胸に、頭にスッと届く非常に楽しい講義でした。「皆さん、キャビアのリテラシーをしっかり身につけてください」という出口さんのお言葉がとても印象的で、キャビアに対して間違った知識や知らないことだらけだったので、アンバサダーとして発信する身として、何事にも興味をもって正しい知識を身に着ける努力が必要だと感じました。そして、これだけ日本国内でチョウザメの養殖等が進んでいると知り、キャビアは今後の日本の新しい伝統文化になっていくのではないかと思います。出口様、本日は貴重な経験をありがとうございました!

※出口様講義参考ページ

一般社団法人キャビアソムリエ協会HP

一般社団法人 キャビアソムリエ協会 (caviar-2021.com)

Program 2 : ワイン入門

俳優の辰巳琢朗様からは、日本ワインについてご講義いただきました。

■まだまだ新しい、日本ワインの定義

「日本ワイン」がきちんと定義されたのは、なんと2018年と、つい最近。日本ワインとは、日本で生産された原材料のみを使用して作られたワインのことを指し、それまでは、海外から輸入した原料等を使用して作るワインのことを「国産ワイン」と呼んでいたそうです。

国内のワイナリーの数を見てみると、2003年は150のワイナリーしかなかったのが、現在では450ものワイナリーが全国にあり、年々日本ワイン製造の士気は高まっているものの、作れる量が少なく市場になかなか出回らないため、消費者の認知度が上がっていかないことが、現在の日本ワインが抱える問題点だそうです。

そういった日本ワインの背景から、辰巳様は日本の地方文化や伝統文化なども一緒に日本ワインを入り口に世界に広めていこう!という想いで「日本のワインを愛する会」を発足し、日本ワインの普及に努めていらっしゃいます。

■ブドウの品種から見るワイン

今回辰巳様の講座では、3種類の日本ワインを試飲させていただきました。甲州を使用した白ワイン、マスカット・ベリーAを使用した赤ワイン、山ぶどうを使用した赤のスパークリングワイン。特に印象に残っているのは赤ワインで、マスカット・ベリーAの放つ綿菓子のような香りと味わいが何とも不思議でした。また、日本ならではである山ぶどうをワインにした発想が面白く、山ぶどうの酸味が炭酸とうまくマッチして、赤のスパークリングワインが非常に美味しかったです。私自身ワインにあまり馴染みがなく、ブドウの品種からワインを見たことも初めてだったので、たくさんの驚きと発見がありました。

■辰巳様の講座を受講して

辰巳様の講座の中で、印象に残った言葉が2つあります。

「ワインを飲むことが一番の応援となり、ワインを飲むことはワインを作ることそのものである。」

「自分の地元に合うのが一番いいお酒。ワインにおいては、ブドウに合わせた育て方をすれば必然的にその土地の食材に合うワインとなる。」

というお言葉です。これは日本酒造りにも言えることだなと感じ、鳥取県で生産されている「強力米」と「強力」という日本酒がパッと頭に浮かびました。土地土地に合わせたお米作り、酒造りと共に発達してきた地域の食文化。辰巳様が日本の地方文化や伝統文化なども一緒に日本ワインを入り口に世界に広めていきたいと思われたように、私も日本酒と地方文化を合わせてPRできるMiss SAKEになりたいと改めて思いました。

また、日本ワインの味わいは日本人らしさを感じさせる繊細な口当たりだと感じ、ワインが苦手な方でも飲みやすそうだと感じました。キャビア同様、この日本ワインもこれから歴史を紡ぎ、日本を代表する伝統文化となっていくものの一つになっていくのかと思うと、ワクワクしました。辰巳様、貴重な講義をありがとうございました!

※辰巳様講義参考ページ

辰巳様プロデューススパークリングワイン

今様 2019(辰巳琢郎プロデュース スパークリングワイン)…マンズワインの通販サイト・マンズワイン オンラインショップ (mannswine-shop.com)

マスカット・ベリーA始まりのワイナリー 岩の原ブドウ園

ようこそワイナリーへ | 岩の原葡萄園 (sgn.ne.jp)

Program 3 : 酒と菌と人類と気候

東京大学 大学院農学生命科学研究科 生物材料科学専攻 教授 / 総長特任補佐 五十嵐圭日子先生より、地球環境と酒造りの関係についてご講義いただきました。

(今回、2022 Miss SAKE JAPANの磯部様のご縁で、五十嵐先生のナデシコプログラムが決まったそうです。ありがとうございます!)

■気候変動がもたらす酒造りへの影響

今回、五十嵐先生の講義によって、地球が大変な状況になっていて、このまま生活をしていると人間も作物もこの地球上で生活することが困難になるという現実を思い知らされた気がします。

まず、世界に現在北極点がないことを、みなさんご存じだったでしょうか?昔では起こりえなかった、暖かい空気が北極圏の上を通るという事象が発生しており、北極圏は今、通常より28℃も高い気温だそうです…。二酸化炭素が地球の温度を上げるのは確かなことであり、いまのペースで二酸化炭素を排出し続けると、40年後には人類が経験したことのない二酸化炭素濃度となり、作物が耐えられねくなり、酒造りに重要なお米さえも収穫できないような状況になり兼ねないのです。

私が小さい頃、桜といえば入学式シーズンに咲くイメージでしたが、近年はどちらかというと卒業式シーズンに桜の見頃だったり、雨による災害が年々と増えているのは、地球が気候変動における目に見えるメッセージを送ってくれているのだなと感じました。

■環境問題について先進的なヨーロッパと呑気な日本

ヨーロッパはこういった環境問題をシリアスにとらえており、環境保護や生物資源をどう利用していくか?という議論が行われていたり、一人ひとりの意識づけとして取り組まれているようです。また、エルメスやグッチといった高級ブランドでも、ヴィーガンレザーを鳥れるなど、環境に配慮した取り組みが活発に行われています。一方日本では、プラスチック削減しましょうという企業の取り組みは見られますが、一人ひとりの意識づけといった面では、教育や社会問題として取り上げられているようでおざなりにされているトピックのような気がします。

■昔の日本を取り戻そう!

では、日本において地球環境に配慮した取り組みとして、どんなことができるのか?五十嵐先生は、日本人の得意とする「発酵」に注目され、キノコやカビ、酵母といった菌を利用して分解などを行い、循環型社会を実現できないかとおっしゃいます。実は江戸時代というのは、酒のガラス瓶を再利用したり日常生活の中で当たり前のように循環が行われていたそうです。

■五十嵐先生の講義を受講して

利便性を求めた先に出てきた環境問題。日本酒という日本の国酒を守るためにも、菌と共生し続けてきた日本人としての強みを生かし、今一度一人ひとりが地球の未来について真剣に考えることが必要であると強く感じました。また、五十嵐先生のお話の中で「消費者が賢くなるしかない」というお言葉が印象的で、誰かからの情報を待つのではなく、自分から動いて情報を取りに行くことが大切であると思いました。鳥取県は全国で最もキノコの研究に力をいれている県でもあるので、鳥取県がキノコ研究の先に見据えている未来についても調べてみたいと思います。五十嵐先生、貴重な講義をありがとうございました!

※五十嵐先生講義参考メモ

世界最大の生物はキノコ!?オニナラタケが巨大&長寿すぎ!! | 生き物係 -ikimono kakari- (soyat-info.com)

Cool Choiceについて

COOL CHOICE | cool-choice-tottori (ecoftottori.wixsite.com)

東京大学 ONE EARCE GURDIANSについて

ONE EARTH GUARDIANS – 東京大学 大学院農学生命科学研究科 (u-tokyo.ac.jp)

映画「せかいのきおく」

映画『せかいのおきく』公式サイト (sekainookiku.jp)

Program 4 : キャビアとチョウザメ

今回も石川酒造様の敷地内にあります、ゲストハウス酒坊〜多満自慢〜さんにて合宿形式のプログラム。

今回私たちは、キャビアソムリエ協会の出口様によるキャビアの採卵を見せていただく非常に貴重な体験をさせていただきました。

チョウザメを開腹するまで、キャビアがどのくらい入っているかわからないということで、終始ソワソワの出口様。開腹してみると、キャビアがたっぷりと入っていて、安心していらっしゃいました◎

何人かのファイナリストたちで卵巣からキャビアを取り出す工程もさせていただき、キャビアは柔らかくて今にも潰れてしまいそうな触感なのに、強い力で漉しても潰れず驚きました。

取り出したキャビアを塩と日本酒に漬け、キャビアの完成!

今回は香川県の國重(大吟醸)と多満自慢無濾過(純米酒)とで漬けたのですが、ほのかに日本酒が香り、お口の中がとっっっても幸せ!より一層高級感が増しました。

その後、お刺身、しゃぶしゃぶ、酒蒸し、味噌焼き、フライタルタルソース添え、お茶漬けとチョウザメの身のフルコース!タイのような見た目で、食感はプリップリ!とても歯応えがあり、非常においしかったです。脂がのっているので、私はしゃぶしゃぶしてポン酢ともみじおろしでいただく食べ方がちょうど良く何枚でもパクパクと食べれちゃいました!

締めのお茶漬けの出汁もチョウザメからとったお出汁で、コラーゲンたっぷり!キャビアの塩味も相まって、3杯おかわりをしてしまいました。笑

出口様の講義を受けて、キャビアはチョウザメの命そのもの、そして生産者さんの努力の結晶の賜物だと分かると、キャビア一粒一粒に感謝の念がこみ上げてきました。そして、一生に一度しか採卵されないチョウザメの身が、捨てられることなくちゃんと循環されて欲しいと切に願います。

出口様、ご協賛いただきました愛葉様、本日は貴重な経験を本当にありがとうございました!

以上、第13回ナデシコプログラムレポートでした。