第11回ナデシコプログラムレポート(2023.04.22)

~豊富な資源が生み出す「日本酒」という伝統文化~

皆さま、こんにちは。2023 Miss SAKE 鳥取の都田亜衣莉です。

先日、第11回ナデシコプログラムに参加してまいりましたので、ご報告させていただきます。

今回は以下の講義を受講致しました。

●SAKEから観光立国~日本酒の国際化は地方のブランド化へ~

株式会社コーポ・サチ 代表取締役 / 酒サムライコーディネーター 平出 淑恵 様

●手ぬぐい講座

株式会社かまわぬ 専務取締役 高橋 基朗 様

●世界初・新潟発「日本酒学(Sakeology)」

新潟大学日本酒学センター副センター長 平田 大 様

●鍋&SAKE~播州百日どりといただく香川県のうちこみ汁~

酒坊“SHUBOU”多満自慢にて

【 SAKEから観光立国~日本酒の国際化は地方のブランド化へ~ 】

株式会社コーポ・サチ代表取締役 / 酒サムライコーディネーターでいらっしゃる平出 淑恵様より、平出様がお考えになる「日本酒の世界的価値」と現在行っていらっしゃる「日本酒を世界の酒にするための活動」についてご講義いただきました。

■海外からの視点・ワインからの視点で考える「日本酒」

平出様は日本航空(JAL)にて国際線CAとして勤務されていた際、機内サービスの専門性を身につけるためにワインを勉強。海外からの視点とワインを学んだ視点とで日本という国を見てみると、「日本酒」は日本国を代表するブランドとなる要素が満載であることに気がつかれました。日本酒における歴史は然り、高いアルコール度数で醸造できる並行複発酵、100年以上続く家業としての蔵元の意識、四季折々の楽しみ方ができる日本独自の伝統と習慣etc…これらが平出様がお考えになる、日本酒が「ブランド」となるための強みです。

ワインからの視点で日本酒を見たときに、平出様のお言葉で印象に残ったものがあります。それは「ワインを学ぶことは、学んだ人の頭の中にワインの産地の地図が入っていくこと。ワインを学んだ人たちが日本酒を学ぶことは、学んだ人の頭の中に47都道府県の地図が入ること。」というお言葉です。ワインは、産地が世界的に有名な地名として確立されており、「○○(産地)のワインが好き」と言うだけでお相手の好みが分かります。各地域によって特色のある日本酒にも同じことが当てはまると伺ったときは、大変納得したと同時に、私自身も地方在住者として日本酒を活用した地方へのインバウンドは産地をブランド化していくのか!と大変大きな学びでした。

■まさか!WSETとここで繋がるとは!

世界中で楽しまれているワインとひけをとらないブランド力を秘めた日本酒。しかしながら、日本国内では年々日本酒の需要が減っており、逆に海外需要は12年連続で伸びています。海外需要が伸びていると言っても、まだまだ世界全体での日本酒の認知度は低く、どうやって日本酒を海外に広げていくかという時に、平出様は「世界でワインを売っている人たちが日本酒を売ってくれたら早いのではないか」と考えられたそうです。そのために「私たちがまずワインについて知る。日本酒だけを学んだのでは、ワインが好きな人たちへ日本酒の魅力が伝わる伝え方はできない。」というお話を伺い、第10回ナデシコプログラムで受講したWSET SAKEでの「誰が聞いても分かるぐらい簡単に伝えるためには、自分自身が誰よりも詳しく知っている必要がある。」という言葉を思い出しました。平出様のお話とWSET SAKEの講義を照らし合わせながら、ワインも日本酒も知っているからこそ、両者の通ずるところと相違点が分かり、よりそれぞれの魅力を引き立てる伝え方が出来るのだと感じました。そんなことを思っていると、日本で開講したWSETはJALがパートナーとなっており、WSETのSAKEコース開設に平出様も携わっていらっしゃったそうです。まさかこう繋がるとは!と驚くと共に、WSET SAKEの開設に至った背景を知ることで、私たちが受講した意味について改めて考えさせられ、Miss SAKEとしての使命を感じました。

■日本酒を世界の酒にするために行われている取り組み

ワインの海外啓蒙活動に必須と言われている3つの活動を、日本酒に置き換えてみると

  1. 世界に通じる体系的な教育プログラムの作成
  2. 日本酒の価値を消費者に伝えるプロの育成
  3. 日本酒教育活動の多方面からの支援

この3つの活動が、日本酒を世界の酒にするために必要な活動だと平出様はおっしゃいます。そのお考えのもと、ワイン教育本拠地へ有志の酒蔵様と出向き、それがきっかけでIWC(International Wine Challenge)においてSAKE部門の創設やWSET SAKEの開設へと繋がりました。さらにIWC SAKE部門で賞を受賞した酒蔵の地域に注目が集まり、「鍋島世界一」から佐賀県鹿島市にて鹿島ツーリズムを行ったところ、コロナウイルス以前は2日間で10万人を動員するビッグイベントに!日本酒だけでなく、自然と文化と歴史を体験してもらえるようなイベントがタッグを組み、地方への誘客と地元の方々への日本酒の主産地という意識と誇りに繋がっているそうです。イベントを継続するのが正直難しいこともあるけど、その中でも継続をしていくと、そこで体験した人たちが各々の地域へその体験を持ち帰り、口コミでまた広がることで、日本酒が世界酒となっていくのだなと感じました。さらに、日本では2012年から國酒プロジェクトとして、日本酒振興を国策として行っており、現在では外務省の赴任前研修で日本酒講座が設けられ、駐在員は國酒としての日本酒の知識を学んでから世界各地へ赴任する、観光庁においては酒蔵ツーリズム推進協議会が誕生し、現在は日本観光振興会が事務局となって官民の酒蔵ツーリズムを企画・実行しているというお話を伺い、日本国という国を挙げて日本酒を世界のお酒に、そして地域を日本酒の産地としてブランド化させていきたいと動いているのがよく分かりました。

■世界に通じる日本酒の地域性(テロワール)とは?

「テロワール」という言葉は、主にワインにおいて使われる言葉で、国際ブドウ・ワイン機構では「ブドウ栽培、ワイン生産のある限定的なエリアにおいて、このエリアから産出される製品に固有の特性を与えるとされる、特徴的な物理的生物学的環境と、人々が実践するブドウ栽培・ワイン生産手法との相互作用から生まれる集合知を表わす概念である」と定義されています。

日本酒における原材料はお米と水。ワインを愛する方達からすると、日本酒で使用しているお米は、例えば鳥取県で作られたある日本酒は兵庫県産の山田錦を使用して作られていた、というようにお米は移動ができるので、日本酒に対してテロワールを使用するのは相応しくないと考えられることもあるようです。

しかし、日本酒の9割は水で出来ています。平出様の講義の中で、なぜ日本酒が日本で生まれたのか?ということを考えると、お米の十分な穀量があること、そして何よりも綺麗な水が豊富にあること、我々の生活において当たり前に存在しているこのお米と水が当たり前ではなく、神様から日本の文化として築き上げるために贈られたギフトであるように感じました。こう考えると、日本酒におけるテロワールとは、日本各地の地質から水質が異なる「水」であると平出様はおっしゃっていました。

■平出様の講義を受講して

平出様の講義を通して、日本酒が地方への誘客に与える影響の大きさというのをものすごく感じました。私自身も、タイ在住時には鳥取県の地酒をきっかけに鳥取県の美味しい物や良いところをご紹介させていただき、日本酒は地域を紹介するコミュニケーションツールになり得ることを実感いたしました。そして、日本だからこそこれだけのお米と水を使用して日本酒を作ることができるということを強く認識し、日本酒に対する誇りを高めることが出来ました。まずは自分の中に日本の日本酒生産マップをつくり、一つ一つ地域の特性などを体感しながら、日本酒をその地域の代名詞として世界中の人にお伝えしていきたいと思います。

平出様、本日はとても貴重な講義をありがとうございました。

(外に出ると石川酒造様の石川社長と遭遇!平出様と石川社長と記念写真)

※平出様講義参考ページメモ

IWCについてと2022年に受賞した酒蔵様の情報

【速報】IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2022「SAKE部門」のメダル受賞酒が発表されました! | 日本酒専門WEBメディア「SAKETIMES」 (sake-times.com)

ENJOY JAPANESE KOKUSHU(國酒を楽しもう)プロジェクト概要

国家戦略室 – 政策 – 「ENJOY JAPANESE KOKUSHU(國酒を楽しもう)」プロジェクト (cas.go.jp)

訪日外国人に関するデータ データ一覧 | 日本の観光統計データ (jnto.go.jp)

日本酒仕込み水の水質と地質 (jst.go.jp)

【 手ぬぐい講座 】

株式会社かまわぬ専務取締役の高橋基朗様より、手ぬぐいの歴史や作る工程、使い方についてご講義いただきました。

■株式会社かまわぬ様と手ぬぐいの歴史

株式会社かまわぬ様は1987年創業。手ぬぐい関連商品の企画、デザイン、仕入れ、店舗販売や卸販売事業をしている、手ぬぐいの伝え手として活動していらっしゃる企業様です。

手ぬぐいは名の通り「手を拭う」という動詞が名詞になっており、平安時代から使われてきたと言われています。もともとは神事などで使う装身具や、儀礼や日除けのための簡易的なかぶり物として用いられ始めたそうですが、肌触りの良さや吸水性の高さから、だんだんと庶民のあいだで手拭きとして利用されてきたという歴史があります。ちなみに、現在の手ぬぐいの原料は「綿花」ですが、昔は「麻」で作られていたそうです。鎌倉時代、日本に綿花の種が入ってきたものの、四季があり雨が多い日本は綿花の栽培に適さずなかなか綿花が作れなかったため、農家さん達が品種改良をすすめ、江戸時代にやっと綿花の栽培に成功!綿花のほうが麻よりも加工しやすいそうです。

かまわぬ様での染色は「注染(ちゅうせん)」という手法で染色しています。注染技術は、明治時代にドイツでできた化学染料が日本に輸入され始めて確立した、日本だけの技術。染料を注いで糸の中まで染める注染技術を、かまわぬ様では現在も取り入れていらっしゃいます。

■手ぬぐいのあれこれ

・手ぬぐいの生地

使用する糸の太さの違いから2種類ある。

徳岡:細糸を使用。目が細かいので、額装ものに使われる。肌触りがなめらか。

浴衣にも使用される高級晒し(さらし)生地。

上総理:徳岡に比べると太い糸を使用。手を拭いたり汗を拭いたりするのに適す。

ざっくりとした肌触りだが、使い込むほどに柔らかなさわり心地に。

・生地の単位

尺:約30.3cm

反:基本12m 成人一人分の衣料に相当する量

疋:約24m 2反で1疋

手ぬぐいの大きさは1尺3尺(幅33cm×長さ90cm)

■おむつの語源は生地の単位にあった!?

先ほど生地の単位ででてきた「反」。昔は布でおむつが作られていたわけですが、この反を6つに分け2mにした布でおむつを作っていたため、「おむつ」と呼ばれるようになったそうです。初知り!

■注染の工程

  1. 型ぼり:かまわぬ様で作成したデザインを地紙に掘る
  2. 糊置き:糊を反物に塗る。糊がついているところは染まらない

この糊の原料は、なんと海藻!

  1. 染色:40枚の手ぬぐいを重ね一気に染める
  2. 洗い
  3. 乾燥:関東と関西や浜松など地域によって乾燥のさせ方に違いがある
  4. 地巻き
  5. 加工・完成!

■手ぬぐいの特徴

高橋様がおっしゃっていた手ぬぐいの特徴は、使いながら経年変化を楽しめるということです。使えば使うほど柔らかな手触りへと変化していきます。実際に新品の手ぬぐいと使い込んだ手ぬぐいとを比べさせて頂きましたが、使い込んだ手ぬぐいの肌触りは想像以上に柔らかく、温かささえも感じました。

手ぬぐいが切りっぱなしなのにも理由があります。縫い目が無いため乾きが早く、汚れやホコリがたまらず衛生的で高温多湿な日本の気候に適しているということで、切りっぱなしなんだそうです。本当に手ぬぐいはすぐに乾くのか!?ということで、タオルと手ぬぐいで乾燥の早さを計測したところ、5回洗った手ぬぐいが最も吸水性が高く乾きが早かったそうです。使い込めば使い込むほど性能を増していく手ぬぐい、凄い!!となりました。ちなみに、手ぬぐいを使っていると横糸が出てきますが、出てくるうちはどんどん切ってもらって大丈夫だそうです。使い込んでいくうちにこの横糸も出てこなくなります◎また、裏表がないというのも世界的に珍しく、海外の方々にも大人気だそうです。

手ぬぐいは洗濯時に少し注意が必要です。色落ちの可能性があるので、なるべく水での手洗いを推奨。色移りしても気にならないものであれば、洗濯機で洗濯していただいて大丈夫です。ピシッと伸ばして干せばアイロンがいらないほど綺麗に乾いてくれるのも、手ぬぐいの特徴ですよね。

(左:新品 右:使い込んだもの この色落ちもまた味があります。)

■万能!手ぬぐいの使い方

皆さんは「手ぬぐい」と聞くと、どのような用途を思い浮かべますか?私は食器などを拭く布巾しか浮かばなかったのですが、それ以外にもお弁当箱やご祝儀など物を包んだり、首や頭に巻いたり(お着物の半襟にも使えるそうです!)、テーブルウェアとして敷いてみたり、インテリアとして飾るも良し!たくさんの使い方ができることを今回の講座で知りました。実際に日本酒などのボトルの包み方を教えて頂きましたので、お酒の贈り物をする際などに活用したいと思います。

(高橋様からボトル包みのレクチャーを受ける新潟代表の萌香さん。

ボトル包みの実践では、高橋様が各テーブルを回ってレクチャーしてくださいました。)

(私も実践!手ぬぐいで包んでプレゼントされると、粋だなと感じます。)

■特徴的なかまわぬ様のブランドロゴ!

初めてかまわぬ様のロゴを見たとき、「なんでかまと〇とぬなんだろう?」と思いました。これは判じ文字と言って、絵で文字などを表わす謎解きが江戸時代に大流行!この時代に火消しの職人さんがつけていたのが、かまわぬ様のブランドロゴだそうです。昔の火消しは非常に危ない職業だったため、「火の中、水の中、ところかまわず行くぞ!」という意味が込められていて、かまわぬ様では、「どうぞお構いなくお気軽にお越しください」という思いでこのロゴを使っていらっしゃいます。

■高橋様の講義を受講して

まず、一言に手ぬぐいと言っても、これだけの用途があることに驚き、私が生きている世界はまだまだ狭いな・・・と感じました。笑 日本酒とはまた違う形で、日本の特徴的な風土を活かして誕生した手ぬぐい。利便性を体感し、純粋に自分自身がもっと使ってみたいと思いました。また、江戸時代から庶民にもなじみ深くなった手ぬぐいを、江戸時代に流行っていた判じ文字と共に現代に伝えていこうとされているかまわぬ様の一貫した姿勢と想いは、Miss SAKEとして活動する上でも参考になりました。今回、また一つ日本の誇れる伝統文化に触れることが出来たので、まずは私の周りから、手ぬぐいファンを増やしていきたいと思います。

高橋様、本日はありがとうございました!

※高橋様講義参考ページメモ

かまわぬについて:てぬぐいのかまわぬ 公式サイト (kamawanu.jp)

ら、たく【イベント】4/20(木) ~ 5/8(月)『かまわぬのてぬぐい展』 開催:てぬぐいのかまわぬ 公式サイト (kamawanu.jp)

【 Miss SAKE 日本酒とそれらを取り巻く文化の魅力を伝えるアンバサダー

世界初・新潟発「日本酒学( Sakeology )」

新潟大学日本酒学センター副センター長の平田大様にお越し頂き、日本酒学から見る日本の酒の歴史や、世界で初めて開設された「日本酒学」についてご講義いただきました。

■日本酒学から見る日本の酒の歴史

日本で一番初めに酒らしきものが確認されたのは縄文時代、竪穴住居から出土した土器に液果類を発酵させたものが残っており、これが酒ではないか?と言われています。その後、弥生時代(紀元前5世紀)に中国から水稲が伝来、3世紀には魏志倭人伝に「倭国の酒」と酒をたしなむ表記があり、712年の「古事記」には百済人が来日し酒を醸し天皇に献上、716年の「播磨国風土記」には「干し飯にカビが生えて酒を造る」、927年の「延喜式」には酒の技術が、1478以降書かれた「多門院日記」には現在の酒造りの原型となる火入れによる加熱殺菌が行われはじめた記録が残っており、これらが日本酒学から見る日本の酒の歴史です。

■日本酒の技術革新

坂口謹一郎様著の「日本の酒」で「世界の歴史を見ても、古い文明は必ず麗しい酒をもつ」と記述しているように、文明に酒はつきものだと平田様はおっしゃいます。例えば、ワインとビールの誕生はメソポタミア文明時に既に存在していたことが資料に残っており、ウイスキーやブランデーは中世ヨーロッパにおいて、日本の酒は先述したとおり縄文文化に始まっています。

では、どのようにして日本の酒が進化を遂げ、日本酒になったのか。第一の技術革新は弥生時代に日本に水稲技術が伝えられたこと。日本でお米が栽培できるからこそ、日本酒がつくれるのだと。そして、麹菌と酵母の発見によってアルコールが生成できることが分かり、さらに目指す酒によって米の磨き方を変える精米技術や、麹菌にあった米や蒸し米を使用したり、山廃の技術やしぼり、ボトリングの火入れなど、より美味しい酒を目指してどの時代にも様々な工程において技術革新を行ってきていることがよく分かり、今私たちが口にしている日本酒が大昔に当たり前に存在している訳では無かったのだと思わされました。「日本酒造りというのは、1000年もの間で様々な人の手がかかっており、麹の個性を理解し、研究や造りが好きな民族だからこそ出来た技術。それぞれの蔵の造りというのは、酒蔵の顔として大事にしたいですよね。」という平田様のお言葉に、日本人としてのアイデンティティを感じ、日本酒造りの素晴らしさを改めて感じました。

■日本酒学とは?

2018年に新潟県、新潟酒造組合、新潟大学が連携し、日本酒に係わる文化的・科学的要素を融合した学問分野として「日本酒学」を提唱。新潟大学に日本酒学センターを設置し、様々な視点から日本酒を研究しています。

日本酒学誕生の背景には、新潟県の清酒のバックグラウンドが深く関係しています。新潟県は酒蔵数全国1位!(H30年調べ)日本酒は、土地土地の水の硬度がそれぞれの日本酒の主質に影響しており、新潟県は豪雪地帯をいかし、綺麗な雪解け水を利用して日本酒が造られています。なんと、海外輸出の日本酒の21.5%(5本に1本)は新潟県の吟醸酒というほど、国内外において新潟県の日本酒というのは強いブランド力を持っています。さらに、新潟県には酒造組合が作った新潟醸造研究所という、全国で唯一、県が運営する日本酒専門の試験場があり、杜氏を育てる清酒学校は現在までに34期生515名の卒業生を輩出し、45名の現役杜氏が第一線で活躍しているのです。

こういった新潟県の強みを活かし、新潟県の産業振興と新潟清酒の魅力向上への貢献を目指して誕生したのが「日本酒学」でした。ワインの名産地ナパバレーやボルドーにワインの研究所や学問施設があるように、日本酒のことを学ぶのであれば新潟県、新潟大学に!そして、若者に対しても地方や地域の意識や日本酒に対する知識を深め、日本酒が世界のお酒になることを目指しています。

■平田様の講義を受けて

今まで、日本の歴史的書物から日本酒の歴史を捉えたことが無かったので、非常に新鮮でした。平田様の講義と午前中の平出様の講義とで重なる部分がたくさんあり、特に印象に残ったことが2点あります。1つ目は、「水」がいかに大切で日本酒において味の要になるかということ、2つ目は平田様の「日本酒の並べ方で新潟の地図が分かる」というお言葉にあるように、やはり日本酒が地域の地図となり、名刺のような存在になるということ。私たちMiss SAKEの活動が、この日本酒学がいつか世界的な学問になる一助になれれば幸いだなと思います。

平田様、本日は貴重なお時間をありがとうございました。

※平田様講義参考ページメモ

新潟大学日本酒学研究センターHP

日本酒学センター (niigata-u.ac.jp)

新潟県醸造研究所

醸造試験場の御案内 – 新潟県ホームページ (niigata.lg.jp)

産学官連携ジャーナル

総合大学の強みを生かした新潟大学における「日本酒学」の取り組み|2022年8月|産学官連携ジャーナル (jst.go.jp)

「日本の酒」坂口謹一郎様著

日本の酒 (岩波文庫) | 坂口 謹一郎 |本 | 通販 | Amazon

にいがた酒の陣

にいがた酒の陣2023 (niigata-sake.or.jp)

数字で見る日本酒の酒蔵の数

【数字で見る日本酒】日本全国の日本酒の酒蔵の数はどれぐらい? – SakeWiki-お酒の大学-

【 鍋&SAKE~播州百日どりといただく香川県のうちこみ汁~ 】

今回は酒坊多満自慢さんでの宿泊研修。夜ご飯に、播州百日どりを使用した香川県の郷土料理打ちこみ汁をいただきました!

■播州百日どりとは?

兵庫県多可郡多可町加美区、町土の約8割を山林に覆われ「杉原川」が流れる大自然の町で育てられている鶏がいます。より自然に近い環境の中で、概ね100日間という時間をかけて育てられる「播州百日どり」。肉のうま味成分イノシン酸がピークに達するまで育てられた播州百日どりは、肉の締まりがよく歯ごたえ十分!細やかな繊維質で口当たりが良いのが特徴です。

■なぜ播州百日どりを鍋&SAKEに?

プログラム内容を見たとき、なぜ播州百日どりが選ばれたのだろう?と疑問に思っていたのですが、なんと!多可町は、日本一の酒造好適米、山田錦発祥の町だったんです。山田錦の歴史は、明治10年頃、この地の豪農、山田勢三郎翁が自分の水田にひときわ大きな粒をもった稲穂を発見し、種子を培養。結果、見事な大粒揃いの新種が育ち、自らの姓をとって「山田穂」と名付け、その後酒造家の間に一気に広がっていったそうです。

■いざ、実食!

日本酒に由縁のある地域で育てられた播州百日どりを、香川県の郷土料理「打ちこみ汁」とともにいただきました。いりこ出汁とお味噌で味を調える打ちこみ汁に鶏肉が入ると、コクのある味わいになり優しく温かいお出汁が体中に沁み渡ります。播州百日どりは本当にプリップリ!噛むとじわ~っと出てくる肉汁がたまらなく美味しかったです。手間暇かけて育てられた命を頂いていることに、深く感謝いたしました。

播州百日どりについては、YouTubeのMiss SAKE Channelでファイナリスト達がレポートしているので、是非見てみてください♪https://youtu.be/Z1qYPiBAmcw

また、香川県の打ちこみ汁のレシピ等については、こちらをご参考に★打ち込み汁 香川県 | うちの郷土料理:農林水産省 (maff.go.jp)

今回は、岐阜、香川、福岡、沖縄のファイナリスト達が、自分の地域のお酒を持ってきてくれたのですが、またこれがお鍋によく合う!冷酒~燗酒~最後は出汁割りまで楽しませて頂きました♪本日は2022 Miss SAKE FUKUOKAの白石萌莉様も来てくださり、昨年度の活動や白石さんが心がけていらっしゃることなどお話を伺うことができ、改めて日本酒で語らうって最高だな~、ナデシコプログラムに参加して良かったな~と幸せを噛みしめた夜でした。

白石様、たくさん貴重なお話を聞かせて頂き、ありがとうございました。

※鍋&SAKE参考ページ

播州百日どりについて

播州百日どり | 三木市・加東市・西脇市・多可町がエリアのJAみのり (ja-minori.jp)

兵庫 多可町特産 「播州百日どり」広める取り組み|NHK 関西のニュース

以上、第11回ナデシコプログラムレポートでした。