第十回ナデシコプログラムレポート(2023.04.16)

~物事の説明はよりシンプルに、分かりやすく、簡単に~

グローバルスタンダードな日本酒の知識を身につける

皆さま、こんにちは。2023 Miss SAKE 鳥取の都田亜衣莉です。

第十回ナデシコプログラムでは、WSET日本酒レベル1資格取得に向けて1Day講義を受講、その後資格試験を受講いたしました。

WSET日本酒レベル1とは?

WSETというロンドンに本部を置く世界最大のワインの教育機関が提供する、グローバルスタンダードな日本酒の知識を学ぶことの出来る国際的な講座・資格です。英語ではWSET SAKE と記載します。WSET SAKEには2段階のコースがあり、Level1は初めて日本酒を学ぶ方を対象に日本酒の基本的な概論を実践的に学び、Level3は日本酒の知識を既に持っていてテイスティング能力保有者を対象により理解を深める講座となっています。Level3を受講するためには、Level1の受講と資格が必須で、Level3は全て英語となるので、ある程度の語学力が必要です。

私たちは今回、WSET SAKE Level1を受講しました。

●日本酒をシンプルに説明する

まずWSET受講にあたり、テキストがものすごく薄いことに驚きました。私も個人的に日本酒を勉強しようと本を買っていましたが、WSETのテキストは約30ページ、15分もあれば読了してしまうほどの薄さです。そこで先生がおっしゃっていたのは「日本酒はとっても複雑な工程をふみますが、説明はシンプルにできます。ただ、誰が聞いても分かるぐらい簡単に伝えるためには、自分自身が誰よりも詳しく知っている必要があります。」ということでした。グローバルスタンダードな日本酒の知識を簡単にシンプルに伝えることが出来るよう、本日は日本酒への学びを深めていきます。

(WSETのテキストとテイスティング用グラス)

●日本酒の原料と製造工程

日本酒の原料は、蒸米、麹、水、酵母に加え、醸造アルコールを加えて作られている物もあります。4つの原料(蒸米、麹、水、酵母)を発酵させ、場合によっては醸造アルコールを添加、その後上槽の工程でもろみと酒粕を分け、酒を瓶詰め。瓶詰めの前にアルコール度数を調整するために、水を加える加水調整という工程を行ったり、瓶詰め後に劣化を防ぐために火入れという工程を行っています。そうしてできた日本酒は、無色透明でアルコール度数が大体15度~17度、お米本来のほのかな甘みや、若干の酸味、穀類や乳酸、果実の風味を持っているのが一般的です。

実は日本酒の製造工程に、ワインとの大きな違いがあります。ワインは原料のブドウと酵母を混ぜることでアルコール発酵が進む単発酵により作られていますが、日本酒は一つの樽の中で、お米のデンプンを糖に変える発酵と糖をアルコールに変える発酵との2種類の発酵が同時に行われているのです。これを並行複発酵と呼び、この発酵によってアルコール度数の高いお酒が作れるのだそうです。この並行複発酵はとても複雑で繊細で難しい発酵。鳥取県内の酒蔵様に伺ったときも、並行複発酵中はやはりこまめに樽を確認するとおっしゃっていましたので、これができるのもまた、日本人ならではの技術ではないかと感じました。

このように、日本酒を海外の方に向けて説明をするときは、ワインとどういった違いがあるのか?ということを比較してお伝えするとより分かりやすく伝えられると伺い、確かに講座中もワインとの比較が多く出てきてとても分かりやすかったです。

(日本酒の製造工程や特定名称種の分類について、カードを使っての復習中)

●特定名称酒の分類

日本酒には、お米の加工の仕方や醸造アルコールを添加するかしないかによって、味や風味が変わり、それぞれに名称がついています。醸造アルコールを添加したものを本醸造酒、そしてお米の磨き方によって吟醸酒、大吟醸酒とに分けられます。また、醸造アルコールを添加していないお酒は純米酒と呼ばれ、こちらもまたお米の磨き方によって純米吟醸酒、純米大吟醸酒とに区分されます。私は醸造アルコールを添加することでアルコールの要素が際立ち、本来の日本酒の風味を損ねてしまうのではないかと思っていましたが、逆に軽やかかつ華やかな風味を引き立たせてくれるようで、実は歓評会で賞を受賞しているお酒は醸造アルコールが添加されているものが多いということに驚きました。そういったことを意識してテイスティングをしてみると、確かにうまみをしっかり感じるのに軽やかな味わいで、思いのほかさらっと飲めることを体感しました。理論的に日本酒を学んだ後にするテイスティングは、日本酒の様々な面を見つけ出すことが出来、大変面白かったです。

テイスティングの様子や食べ物との組み合わせについて動画にまとめてみましたので、もしよろしければご覧いただければと思います。

https://www.instagram.com/reel/CrSJF0VAayK/?igshid=YmMyMTA2M2Y=

●初知り!日本酒の欠陥用語

日本酒は一度開栓して長期間置いておくと、酸化して美味しくなくなるということはよく耳にすると思います。なので私もなるべく開けたらすぐに飲むようにしていますが、皆さんは他に日本酒の保管方法で気をつけていらっしゃることはありますか?やはり開けてからなるべく早く飲んでいただくのが一番美味しい状態で楽しんでいただけるのですが、もし難しい場合は、できるだけ低温で光を避け、瓶を立てて保管されることをオススメします。暖かい場所や日光のあたる場所での保管は酸化の他に老ね(ひね)といって漬物などの不快な匂いがしたり、生老ね(なまひね)といって生酒などはベーコンや腐った野菜などの非常に不快な匂いが発生することがあるそうです。(私はこの老ねや生老ねという言葉を今回の講座で初めて知りました。まだまだ知らないことがたくさんです・・・。)また、蓋の錆びを防止するためにも、瓶は必ず立てて保管頂ければと思います。

基本的に市場に出回っている日本酒というのは、一番吞み時の状態で出荷されています。たくさんの手間と思いがこもった日本酒を、是非より美味しく楽しんでいただけると嬉しいです。

講座の最後には、認定試験を受験致しました。本日1日で学んだことの総復習となって良かったのですが、回答に迷う問題が3問ほどあり、帰りに宮城代表の瑞穂さんと、静岡代表の花菜さんと答え合わせ!間違っていた部分もありましたが、やはり間違えた方が強く記憶に刻まれますね。今後の活動において、酒蔵様や携わってくださる方々に失礼の無いよう、しっかりと知識を自分のものにしていきたいと思います。

本日お世話になりました、講師の木下様、キャプランワインアカデミーの皆様、ありがとうございました!

以上、第十回ナデシコプログラムレポートでした。