第七回ナデシコプログラムレポート(2023.04.08)

日本が誇る伝統工芸を体験!

皆さま、こんにちは。2023 Miss SAKE 鳥取 都田亜衣莉です。

2023年4月8日(土)東京都日本橋にて第七回ナデシコプログラムが行われました。

今回は3班に分かれ、以下のプログラムをローテーションで回りました。

体験学習メインの第七回ナデシコプログラムです。

●小津和紙様建物内見学 ( 小津和紙 様 )

●手漉き和紙体験 ( 小津和紙 様 )

●江戸切子作成体験 ( 華硝 様 )

●面談 ( 一般社団法人Miss SAKE 事務局長 中村信次郎 様 / 2014 Miss SAKE 森田真衣 様 )

●小津和紙様 建物内見学 ( 小津和紙 様 )

今回のメイン会場としてお伺いしたのは、東京都中央区日本橋にあります小津和紙様。なんと、1653年創業!360年以上続く歴史ある企業様です。

1階が店舗と手漉き和紙体験工房、2階が作家さんの作品を展示したりジャンル問わず様々な展覧会を開催している小津ギャラリーと、書道・水墨画をはじめとする各種講座を受講できる小津文化教室、3階は各地の和紙と和紙で作られた作品等を見学できる和紙照覧と紙商としてこの地に開業した小津和紙様の歴史について学ぶことのできる小津史料館が併設されていて、建物内で見て、触れて、感じて、と様々な楽しみ方ができる施設です。

ところでみなさんは、和紙がどのように作られているか知っていますか?

私は正直なところ、原料が木であること、原料を混ぜた水を何度もすくって重ねて作る、ぐらいしか知らなかったのですが、今回小津和紙様を訪問したことで、原料となる楮(こうぞ)は丸々使えるわけではなく、内側の皮だけを使用すること、そのために蒸したり流水に晒したりアク抜きをしたり余分なチリを取りさらに繊維をほぐしていくなど、漉ける状態にするまでにかなりの作業と労力、時間が割かれており、原料から紙になるまで10日もかかるということを知りました。日本の重要無形文化財だけでなく、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている美濃和紙は、そういった工程を繰り返し100kgの楮から作られる美濃和紙はたったの4kgほどというから驚きです・・・。裏側を知ると和紙の見方が変わり、職人さんへのリスペクトが生まれます。ちなみに、東京オリンピックで使用された賞状は美濃和紙で作られたものだったそうです!

和紙照覧スペースでは、各地で作られた和紙を見たり触れたりすることができ、一言に和紙と言っても様々な和紙が存在していることにまた驚きました。

小津和紙様の歴史に触れることの出来る小津資料館では、様々な文書類や千両箱等の用具類が展示されているのですが、時間が許すのであれば是非スタッフさんによる説明を聞きながら見学されることをオススメします!私は戦国時代~江戸時代に生まれたかった・・・とすら思うほどこの時代の文化や考え方、生活に惹かれるものがあり、気になりすぎてスタッフの小西様に各所説明をしていただきながら見学させていただいたのですが、目からうろこの情報が満載!元々伊勢の御用商人だった小津清左衛門長弘さんが江戸きっての問屋街に移り住みそこから始まる江戸での小津和紙様の歴史。実は本居宣長さんや渋沢栄一さんとの繋がりがあったり、現代では布団業界で名前を知らない人はいない西川布団様との関わりなど、紙問屋だけでなくそこから派生したビジネスも含め、小津和紙様がどのように発展してきたのか、その背景を伺うことが出来、非常に有意義な時間でした。ちなみに小津和紙様のブランドロゴは、鱗久と言って、本居宣長さんがされていたお店のロゴをいただいたのだそうです。その繋がりも興味深いので、是非小西様に聞いてみられてください。

(こちらが小津和紙様のロゴ鱗久です。)

そして、小西様のお話の中で印象的だったのは、「もともと和紙漉きというのは土地の持てない貧しい人や、農民の次男など身分の下の人がする職業だった」ということ。展示品の中に昭和天皇の詠まれた歌があり、そこには和紙漉き職人さんへの労いの思いが込められていました。和紙漉き文化の背景には少し切ない気持ちになりましたが、現在和紙漉き職人さんは全国で300人ほど、高齢化が進み廃業される方もいらっしゃる中で、どうにか日本の誇れる文化を残せるよう、伝えていきたいと思わされた時間でした。

実は小津和紙様、和紙だけでなく自身の製紙技術を生かすべく不織布等の生産も得意だそうで、実は皆さまの周りにも小津和紙様が携わっていらっしゃる製品が身近に存在しているかもしれません(^^)

小西様、丁寧にご説明いただきありがとうございました!

ちなみに3階には手作りはがき体験ができるコーナーもあり、しっかり楽しませていただきました♫

1階のショップでは、お着物に欠かせない懐紙と和紙で作られた封筒を購入させていただきました。

●手漉き和紙体験 ( 小津和紙 様 )

続きまして、1階にある手漉き和紙体験工房での和紙漉き体験をレポートさせていただきます。

本日は田中様と北村様ご指導のもと、手漉き和紙体験をさせていただきます。

伺ったときにはちょうど楮の皮を剥ぐ作業をしていらっしゃいました。少し拝見させていただいただけで、非常に根気のいる作業であることがよく分かりました。笑

(楮の皮を剥ぐ作業中の北村様)

和紙作りのために使用する楮は少しヌルヌル、割いてみるとしっかり繊維!この繊維と繊維が絡み合うことで、和紙が作られるのです。

和紙を作るには、楮とネリ(トロロアオイといウナ前で、オクラの仲間だそうです!)を合わせます。ネリを入れることによって、楮の繊維を均一に水の中に広げてくれ、簀桁(すけた)の上での水の引き方を調節して、繊維がよく絡み合う効果があるとのこと。

漉き風呂の中に手を浸けさせていただくと、確かにオクラやじゅんさいを思わせるヌルヌル感が!

(こちらがトロロアオイ) (みんなでヌルヌルを体感中!)

(ネリを入れるとこんなに重たい感じの液体になります!)

田中様の癒しであるという、和紙餅!笑

簀桁にできた和紙を卵焼きのように丸めると、プニップニのモッチモチ!だけど表面はトゥルトゥル!まさに赤ちゃんの餅肌のような触感で、思わず食べたくなりました!

では早速、人生初の手漉き和紙体験、いってみましょう!

まずは漉舟の中の楮が均等になるようにかき混ぜます。

(底の方から、良く混ざれ~と念じながら)

よく混ざったら、いよいよ簀桁を垂直に入れ、軽く水を掬って、お水をポイっと出します。

もう簀桁の表面に和紙が出来ています。

もう一度簀桁を垂直に入水させ、次は水をガバッと掬い、小刻みに縦振り20回!

先程と同じように簀桁を垂直入水させてガバッと水を掬ったら次は小刻みに横振り20回!

再び簀桁を垂直入水、水をガバッと掬って小刻み縦振り20回!

最後にもう一度軽~く水を掬ってすぐにポイっと!

水をポイっとした後の和紙が、どんどん厚みを増しているのが分かりますか?

手漉きのポイントは、

・簀桁を垂直に入水させること!

→斜めに入水させると、入水したところの和紙が破れたりシワが寄ってしまう恐れがあるため。

・漉く時には、縦→横→縦と交互に、小刻みに簀桁振る!

→交互に振ることで繊維の絡み方が変わり、和紙の強度が増すため。また、大きく振ってしまうと抵抗によって簀桁の中の和紙にシワが寄ったり、破れの原因になってしまうため。

講師の田中様の手付きを見ていると実に簡単そうなのですが、これがやってみるととっっっても繊細!簀桁の入水角度や水をポイっと出す所の力加減によって、簡単にシワや破れが出来てしまう和紙。

まさか自分が一発で出来ると思っていなかったので、この表情です。笑

無事に元は完成!

続いて乾燥の工程に入ります。

台紙に和紙を貼り付け

超強力掃除機の上で左右に動かして水気を取り

最後は60°近い熱さの鉄板で10分弱乾燥させます。

ムラなく乾くように、ハケで真ん中から外へと空気を抜いて鉄板と密着させ、待ちます。

約10分後… じゃじゃんっ!遂に完成です!

こういった伝統工芸を自分で体験してみると、やはりいつも最初に思うのは先人の知恵は凄いなということ。どうやって木から紙を作るという発想になり、紙を作る工程を編み出し、一つ一つ手作業で自然とも闘いながら時間をかけて紙を作っていたと思うと、大変な苦労だっただろうなと思うと同時に現在時代の変化に対応しながらも、日本の伝統文化を守っていらっしゃる職人の皆さまに対して、改めて尊敬の念が生まれました。

美しい物の裏側にはたくさんの苦労があるということ。この意識を持っているかどうかで、今後世界中の伝統文化に触れる際の受け取り方が変わってくると思うので、自分の中に覚えておきたいと思います。

田中様、北村様、本日は丁寧にご指導くださりありがとうございました!

●江戸切子作成体験 ( 華硝 様 )

最後は、江戸切子の店 華硝(はなしょう)日本橋店様での、江戸切子体験講座のレポートをお送り致します。

小津和紙様から徒歩1分、小津和紙様の建物の真裏にあります華硝日本橋店様。

実は「江戸切子」と呼ばれるには明確な基準があることを、皆さんご存知でしょうか?私も今回初めて知ったのですが、「江戸切子」と呼ばれるためには、まず東京都(東京都の中でも限られた指定地域)で作られていること、さらにガラスであり、開店道具を使用し手作業であること、という基準があるそうです。そのため、この江戸切子の体験は東京都日本橋や亀戸付近でないと体験が出来ない貴重な講座です。

江戸切子の始まりや華硝様の創業から今までについては、華硝様のHPに詳しく記載してありますので、そちらをご参考にして頂ければと思うのですが、何より凄いのが、フランス・パリのルーブル美術館で華硝様の江戸切子が展示されたり、G8洞爺湖サミットでは、華硝様が独自に考案した文様「米つなぎ」のワイングラスが各国首脳への贈呈品として採用され海外の方々からも高い評価を受けていらっしゃる企業様です。店内には売り物の美しい江戸切子が並んでおり、とても華やかな空間でした。

本日ご指導いただきました小西様はご自身も江戸切子を習っていらっしゃるそうで、「江戸切子は学べば学ぶほど次はこうしよう、ああしようときりが無くて大変です、だけどとっても奥が深くて面白いですよ!」とおっしゃっていたのが印象的でした。

江戸切子は、ガラスの削りたい場所に予め線を入れ、その線に沿って削っていきます。

まずは底から。底の美しさというのが江戸切子の最大の売りポイントであるため、必ず底から仕上げていくそうです。

小西様の「思いっきり行ってください!」というお言葉を信じ、ガラスを大胆にえいやっ!と刃につけました。この時ブレないように、肘をしっかりと固定するのがポイントです!

実際に刃に当ててみると、確かに恐る恐るだと機械がものすごい速さで回転しているので、ブレたり紋様の歪みの原因になるなと体感。

底だけでなく、側面にも紋様を入れていったのですが、力加減や刃を当てる角度によって線の太さや細さが変わり、完成したみんなの江戸切子を見てみると、それぞれの性格が感じられる作品に仕上がっていました!

一つ一つ緻密で丁寧な手仕事は、やはり日本人だからこそ成し得るものであると感じます。今回の江戸切子体験講座では、Miss SAKEとしてそこに居るだけで華やかなオーラと存在感を放ち、丁寧な所作、丁寧な心配り、丁寧な仕事、丁寧なコミュニケーションを心がけ、世界中の誰かのちょっとした楽しみに寄り添い、そして憧れられる存在を目指しなさい、というメッセージをいただいたような気がします。

自分で作った江戸切子で日本酒を嗜む時に、またどんな想いが湧き上がってくるのか、楽しみです。

小西様、本日はご指導いただき、ありがとうございました!

そして、ナデシコプログラムが始まって丁度1ヶ月がたった今、中村さん、真衣さんと面談のお時間をいただけて良かったです。お二人からいただいたお言葉はまさに、私のウィークポイントであり、変わりたいと思っていた部分でした。Miss SAKEという絶好のブレイクスルーの環境を与えていただいた以上、目に見える結果で、支えていただいている方々への恩返しができるようやり切りたいと思います。

また、ナデシコプログラムに参加してから振り返られる回数や見られているという感覚が自意識かもしれませんが(笑)とても増えたと実感しているので、サッシュをつけていない私でも魅力が溢れるくらいの人になれるよう、日々自分を磨いていきたいと思います。

中村さん、真衣さん、引き続きご指導よろしくお願い致します!

お時間いただきありがとうございました。

以上、たくさんの初めてと貴重な体験をさせていただいた第七回ナデシコプログラムでした。

2023 Miss SAKE鳥取

都田亜衣莉

※参照リンク

・小津和紙様公式HP

小津和紙 – 東京・日本橋 和紙の専門店 (ozuwashi.net)

・江戸切子の店 華硝様HP

江戸切子の店 華硝(はなしょう) (edokiriko.co.jp)