~泉橋酒造株式会社様の酒蔵見学へ伺いました。~
皆さま、こんにちは。2023 Miss SAKE 鳥取の都田亜衣莉です。
先日行われました第18回ナデシコプログラムでは、神奈川県海老名市にあります泉橋酒造株式会社様の酒蔵を見学させていただき、3つのこだわりを伺って参りました。
(泉橋酒造株式会社社長橋場様を囲んで)
【その1:農家としての泉橋、酒蔵としての泉橋】
実は農家としての歴史の方が長い泉橋酒造様。農業はなんと!400年も前から営んでいらっしゃったそうです。酒蔵は165年前、江戸末期に創業。農地改革や戦争、関東大震災や食糧管理法の制定・撤廃など時代の変化を乗り越え、「酒造りは米作りから」をモットーに、酒米作りから精米、仕込みまでを全て自社で一貫して行っていらっしゃる、全国でも非常に珍しい「栽培醸造蔵」です。
農薬不使用の酒米作りにも注力していらっしゃり、トンボなどの生態系に優しい環境で育ったものを食卓まで安心・安全に提供したいという思いから、トンボを会社のロゴマークに、そしてお酒のラベルに使用していらっしゃいます。
泉橋酒造様では現在、山田錦と雄町、楽風舞(らくふうまい、酒米の五百万石と食用米のどんとこいを掛け合わせたもの)を栽培。お米本来の味わいを楽しんでいただこうと、造るお酒は純米酒のみ!生産量の半分は生酛造り!と、こだわりを持ってお酒造りに取り組んでいらっしゃいます。
(生酛造りで実際に使用している木桶)
社長の橋場様は、「精米機が一つしかないため、純米酒にこだわるあまり磨きに時間がかかるとその分生産に時間がかかったり最悪の場合は製造がストップしてしまうのがネック」とおっしゃりながらも、どれだけ手間がかかろうとも、ここまでこだわり抜いて自分たちの造りたいお酒を実現していらっしゃる姿に感銘を受けました。
【その2:麹蓋で作る麹】
泉橋酒造様、麹造りには秋田県産の杉を使用した「麹蓋」を使用していらっしゃいます。普通の麹作りよりも何倍も手間と労力がかかるそうですが、お米も作り手さんや土地によって違いがあるため、お米の特性を理解して麹造りをするためには、この「麹蓋」というのは最高の器械なんだそうです。
(麹室に入った瞬間に広がる麹蓋は圧巻でした!)
(一つ一つに会社のロゴマークが入っています。これもこだわりの一つ!)
【その3:上槽は槽(ふな)しぼり】
モロミを絞ってお酒を抽出する際、泉橋酒造様では「槽しぼり」を取り入れていらっしゃいます。酒袋を重ねて自然の重みでお酒を搾るため、お酒にかかるストレスを軽減させて最後の最後までお米の風味を活かした、繊細で優しいお酒が出来上がるそうです。搾ったお酒を順に「あらばしり」「なかどり」「せめ」と言い、泉橋酒造様ではお酒の劣化に繋がる「せめ」は通常製品に含めず、純米大吟醸は「なかどり」のみを使用するというこだわりが。これもまた手間のかかる工程ですが、社員の方から「槽しぼりをしましょう!」と提案があったというから驚きです。実は泉橋酒造様、現在杜氏は置かずにチームでお酒造りに取り組んでいらっしゃるとのことで、ここまで「良いお酒を造る」という想いを共有し、一丸となって向かえるのは本当に良いチーム、素敵な酒蔵様だなと感じました。
試飲もさせていただきました!夏限定で登場するヤゴラベルは、「13回脱皮をしたら赤トンボになる」にちなんでアルコール度数も13度。どのお酒からもこだわりと繊細さ、そして造り手の方々のお酒造りに対する愛を感じました。
橋場様のお話の中で、「純米酒しか造らないと決めたとき、正直お取引が無くなってしまった酒屋さんや苦しい状況になったこともあった」と伺い、それでも「地元でできたオリジナル性が大切だ」と自分たちのお酒造りを信じて継続し、今では「全量純米酒の栽培醸造蔵」としての地位を確立、「ワイナリーのような酒蔵を目指す」という橋場様はまさに「日本酒におけるテロワールを体現する方」でした。私たちMiss SAKEに対して、「業界じゃ無い人たちが、日本の民族のお酒を飲もう!と言ってくれることが大事で、ワインを知ってるのと同じくらい日本酒を知ってるのってかっこいいですよ!ということを発信していって欲しい。」というお言葉を頂戴致しましたので、酒蔵様の想いと共に世界中の人々に日本酒に触れていただく機会をお届けできるよう活動していきたいと思います。
本日ご講義いただきました泉橋酒造株式会社の橋場様、奥様、ありがとうございました!
(埼玉松崎さん、長野中島さん、静岡古橋さん、東京神下さんと共に)
泉橋酒造株式会社様
〒 243-0435 神奈川県海老名市下今泉5-5-1
【公式HP】
全量純米酒蔵 栽培醸造蔵の泉橋酒造株式会社 (izumibashi.com)
2018年の橋場様の記事がForbes Japanに掲載されておりました。
ご参考までに記載させていただきます。
酒づくりは米づくり 泉橋酒造はなぜ「栽培醸造蔵」を目指すのか? | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
2023 Miss SAKE 鳥取
都田 亜衣莉