第18回ナデシコプログラムレポート(2024.05.26)

~日本酒の香りを分析する~

皆さま、こんにちは。

2024 Miss SAKE 鳥取の林原 有香です。

ナデシコプログラム18回目の講義を受講させていただきました。

  • 国税庁特別プログラム:

国税庁課税部 鑑定企画官室 武藤 彰宣様 (酒類国際技術情報分析官)

国税庁特別プログラム

みなさんは、国税庁が日本酒に深く関連していることをご存じでしょうか?

とても意外に思われるかもしれませんが、実は歴史的な背景からも国税庁が日本酒の発展にも関わっているのです。

国税庁の主な任務は、以下の三つに集約されます。

1.内国税の適正かつ公平な賦課および徴収の実現:

税金の公平かつ適正な徴収を通じて、国家の財政基盤を支えます。

2.酒類業の健全な発達:

日本の伝統的な酒類産業の発展を促進し、その健全な成長を支援します。

3.税理士業務に関すること:

税理士の業務を監督し、適切な税務サービスの提供を確保します。

歴史的背景

明治32年(1899年)には、酒税収入が国税収入全体の首位となり、明治33年で約5000万円(国税収入全体の約34割)を占めていました。現在では、国税収入全体の1.6%1.1兆円:令和3年度決算額)にまで減少していますが、それでも依然として重要な安定財源となっています。

鑑定官の目的と設置

酒の製造過程で腐敗する危険性があり、腐敗した酒は酒税の減収につながるため、品質および安全性の確保が必要です。このため、明治29年(1896年)に大蔵省に鑑定官が設置され、腐敗防止や品質、安全性の確保が図られました。さらに、明治32年(1899年)には税務管理局に鑑定課が設置され、国税の徴収および酒類産業を技術的側面から支援しています。

初代鑑定官である矢部規矩治は、清酒酵母の発見者として知られ、彼の技術的支援が酒類産業の発展に大きく貢献しました。

講義の実践

講義の後半では、実際に鑑定官の方々が鑑評会で行っている清酒の官能評価を体験しました。以下の点が印象的でした。

フレーバーホイール:

清酒の香りを表すための用語としてフレーバーホイールが使用され、共通の言葉で評価が可能になります。類似の香りでグループ分けされており、右側が香り、左側が味わいとなっています。

香り成分の試験:

日本酒の多様な香り成分を試験薬を使って実際に嗅ぎました。例えば、りんごのような香りはカプロン酸エチル、バナナのような香りは酢酸イソアミルで表現されます。

経験と今後の展望

日本酒の味や香りの表現は難しいと言われますが、香りの定義が決められていることで、客観的な判断が可能となります。講義では、吟醸酒、純米酒、古酒など、特徴や香りの異なる8種類の日本酒の評価体験を実施しました。同じ日本酒でも、香りの表現はファイナリストそれぞれで異なり、表現方法は難しいものと思っていましたが、自分で感じた言葉を選ぶのも楽しいと思いました。

私の経験からも、日本酒を紹介する際に共感をもっていただけると「確かにその香りがするね!」とワクワクしてもらえる瞬間があります。香り成分の説明を加えることで、さらに日本酒への興味を持ってもらえると感じました。今回の講義を参考に、香り成分についても海外の方へわかりやすく説明できるよう努めたいと思います。