第13回ナデシコプログラムレポート(2024.05.11)

~日本の伝統美に見る職人技~

皆さま、こんにちは。

2024 Miss SAKE 鳥取の林原 有香です。

ナデシコプログラム13回目の講義を受講させていただきました。内容は以下です。

和紙梳き体験(小津和紙 髙木清様)

江戸切子作成体験(江戸切子の店華硝 取締役 熊倉千砂都様)

 

和紙梳き体験(小津和紙 髙木清様)

東京都銀座に、日本の伝統工芸品である和紙の魅力を広めるための重要な拠点となっている箇所がございます。今回研修でお世話になりました小津和紙様です。

小津和紙の高木様より、和紙の製作過程やその歴史、文化的意義について教えていただきました。

<和紙について>

和紙は日本の伝統的な手作り紙であり、その製作には独自の技術と繊細な工程が求められます。和紙の主な原材料は楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)といった植物の繊維で、これらを使って作られる和紙はその柔らかさ、強さ、美しさで知られています。

和紙には以下のような特徴があります。

耐久性: 和紙は非常に丈夫で、保存状態が良ければ数百年も保つことができます。

美しさ: 和紙には独特の風合いや透明感があり、美しい模様や質感が特徴です。

多用途性: 和紙は書道や絵画、工芸品、日用品などさまざまな用途に使用されます。

 

<小津和紙様の歴史>

小津和紙は1653年(江戸時代初期)に創業し、370年以上の歴史を持つ老舗和紙店です。

小津和紙様では岐阜県美濃市を中心に生産される伝統的な和紙である美濃和紙を作られています。美濃和紙はその品質と美しさで世界的に評価されている和紙です。

銀座にある小津和紙の店舗は、日本の和紙文化を広めるための展示や販売を行うとともに、和紙の製作体験やワークショップを提供されています。そこでは、和紙の美しさとその製作過程に触れることができ、伝統文化の重要性を再認識する場ともなっています。

<美濃和紙製造工程>

美濃和紙の製作工程は、伝統的な技術と多くの手作業を必要とする精緻なプロセスです。以下その主な工程です。

1. 原材料の準備

美濃和紙の主な原材料は楮(こうぞ)です。楮は強靭な繊維を持ち、和紙に適した素材です。

収穫: 楮の木を伐採し、枝を取り除きます。

蒸し: 楮の皮を剥がしやすくするために、蒸します。

皮剥ぎ: 蒸した楮の皮を手作業で剥ぎます。

2. 皮の処理

剥がした皮をさらに処理し、紙漉きに適した状態にします。

皮除去: 外側の黒い皮を取り除き、内側の白い部分(白皮)だけを使用します。

煮沸: 白皮を木灰やソーダ灰で煮て、不純物を取り除きます。

漂白: 自然乾燥や川の水で晒し、漂白します。

3. 繊維の細断と洗浄

皮を細かく砕き、洗浄して不純物を完全に取り除きます。

叩解: 木槌で皮を叩いて繊維を細かくします。

洗浄: 繊維を水で洗い、不純物を完全に取り除きます。

4. 紙漉き

この工程では、繊維を水と混ぜて紙を漉きます。

水漉き: 繊維を水に混ぜ、さらに粘性を持たせるために「ねり」と呼ばれる植物性の粘剤(トロロアオイの根)を加えます。

漉き: 木枠(簀)に繊維を均一に広げ、振って水を切りながら層を作ります。この工程は均一な厚さと質感を作るために非常に重要です。

5. 圧搾と乾燥

漉き上がった紙を乾燥させます。

圧搾: 漉いた紙を重ね、圧搾機で余分な水分を絞り出します。

乾燥: 圧搾した紙を一枚ずつ板に貼り付けて乾燥させます。自然乾燥が一般的で、日光や風の力を利用します。

6. 仕上げ

乾燥した紙を最終的な製品に仕上げます。

剥がし: 乾燥した紙を板から丁寧に剥がします。

<和紙漉き体験>

小津和紙様では、訪問者が実際に和紙漉き体験をすることができます。私たちも今回体験させていただきました。高木様にお手本を見せていただきましたが、横に20回、縦に20回振る等、繊細な動きや救う量も微調整が必要で、実際に自分で行うとなると、想像以上に難しく、自作には2回チャンスがありましたが2回とも失敗してしまいました。3回目は救済措置として高木様と一緒に行わせていただきなんとか完成しました!

1日に200枚作られているそうですが、実際に体験してみると和紙製造は正に和紙職人の方の匠の技の結晶であると感じました。

海外の方も多くいらっしゃっているそうで、和紙漉き体験も英語で可能ですので、ぜひ日本を訪れる外国の方にもこの日本文化を体験していただきたいと思います。

<職人技の保存と継承>

和紙は日本の美意識や自然観を象徴するものであり、その美しさや使い勝手の良さは世界中で評価されています。100kgの原料からは僅か4kgの和紙しか製造できない程、大変希少な日本の文化でもあります。

小津和紙様のような老舗和紙店は、和紙の製作技術を保存し、次世代に継承するための重要な役割を果たされており、ワークショップや体験教室を通じ、和紙の魅力や製作技術を広める努力を続けられています。

私の出身地である鳥取にも因州和紙がありますが、国内外の人々に和紙の魅力を伝え、日本文化の理解と交流促進に努めたいと思います。

 

江戸切子作成体験(江戸切子の店華硝 取締役 熊倉千砂都様)

今回の研修では、江戸切子について学ぶ機会もいただきました。

皆さん江戸切子についてはご存じですか?

<江戸切子とは>

江戸切子(えどきりこ)は、江戸時代から伝わる日本の伝統的なガラス工芸品です。透明なガラスに彫刻を施し、美しい模様を作り出す技術で、色ガラスを使用することも特徴の一つです。江戸切子はその精緻なデザインと職人の高度な技術によって、国内外で高く評価されています。

<江戸切子専門店「華硝(はなしょう)」>

今回体験させていただいた華硝(はなしょう)様は、江戸切子の専門店であり、伝統的な技法を守りつつも現代の感性に合わせた新しいデザインを取り入れた作品を多数取り扱っていらっしゃいます。華硝では、江戸切子の美しさや歴史を学ぶだけでなく、訪問される方向けに実際に体験できるワークショップも開催しており、海外からの観光客の方を含め、多くの方々が参加されているそうです。

ディスプレイされている、普段なかなかお目にかかれない江戸切子を眺めるだけでも、日本の伝統文化を知る機会となりますので、一度訪問されてみることをおすすめします。その繊細さ、デザインの秀逸さを随所で感じられます。

 

<江戸切子体験>

江戸切子を実際に体験させていただきました。少しずつ恐る恐る削っていき完成した作品は、少し線がはみ出てしまったところもありますが、世界に一つだけの特別なものとなりました。自分の作った江戸切子でいただく日本酒は更に特別なものとなりそうです!

熊倉様、および華硝のスタッフの皆さんの親切な対応と丁寧な指導にも感謝いたします。

華硝様での江戸切子体験は、伝統的な日本の工芸に触れる大変貴重な機会でした。

江戸切子の美しさや技術の高さを実感するとともに、自分で作品を作る楽しさも味わうことができました。

華硝様の周辺には他にもたくさんの伝統工芸品がございますので、皆さんもぜひ一度、日本橋を訪れ、江戸切子体験に参加してみてはいかがでしょうか。